Mittwoch, Februar 21, 2007

華々しきベルリナーレ


2月と言えばベルリナーレ。ベルリンに来た当初は、また何故にこの寒くてどんよりとした時期に世界から大勢のお客を呼ぶ盛大な映画祭を開くのかとても理解できなかった。が、今なら分かる。ベルリナーレ無しの2月なんて、全く救いようがないというもの。
ベルリナーレは冬にうんざりぃのこの時期に、ベルリーナー達の生活に輝きを取り戻すかけがえのない華なのでござります。そのためには、お客がちょっと寒い思いをするくらいなんのその。(って、そんな自己中な理由で2月に開催されている訳ないだろ・・・。)

今年のベルリナーレでは、日本映画2本、フランス映画1本をかろうじて見ることができた。フランス映画は、ジェラー・デパルデューの息子が出てるってだけで、ちっともいけてないくせに、途方もなく長い映画だった。
その分日本映画といえば、うきゃ~。思い出すだけでも興奮が蘇る。
なんと、我が理想とするかっこいい女ランキングで上位に食い込む彼女、桃井かおりを間近で見るだけでなく、言葉を交わし、サインまで貰ってしまった。
ウレシスギ!

何の日本映画を見たかというと、どちらとも日本滞在中に時間がなくて見逃した作品。
山田洋次監督の『武士の一分』と桃井かおり監督の『無花果の顔』。
武士の一分では、プロデューサーの人に加え、出演している桃井かおりと壇れいが着物で華やかにやって来て舞台挨拶をしていった。壇れいはがんばってドイツ語で挨拶し、会場からピーピー口笛と歓声を受けておりました。
無花果の顔では、桃井かおりが監督として映画の後のディスカッションにおでまし。
いつもの桃井かおり節が、もうおねぇさま~って感じで素敵この上なし、なのよ~。(最後のなのよ~は、桃井かおり風でお願いします。)
サインまでもらっちゃって鼻血ブー、とまではいかないけど、自分感激っす。

しかして稀にみるミーハーぶりを発揮してしまったベルリナーレだった。
その他、日本からの有名人といえば、『硫黄島からの手紙』から渡辺謙、二ノ宮和也、伊原剛志の俳優陣がやって来ていたよう。
有名人ラッシュ&興味深い映画満載の華々しい2週間が名残惜しく過ぎてった。

Sonntag, Februar 04, 2007

翻訳という仕事

また翻訳業に追われてしまった。気づけばもう2月。
ベルリンに戻ってきてからというもの翻訳に明け暮れ、本業そっちのけ。というか、翻訳に本業の座を取られつつある私の研究業。
でも食べていかなきゃならないし。研究・執筆だけで飯を食おうなんて10年早い。貧乏研究生の心細いフトコロ状況を支えてくれる職があるだけ幸せに思おう。

翻訳するのは大方ドイツ語→日本語。プロっぽく翻訳メモリを使いこなしてばんばん翻訳できればいいけれど、今のところ翻訳してもデータベースに蓄積されることもなく、依然訳したはずの同じ単語に再三悩まされている。

それにしても、これだけ科学が発達したのにも関わらず、まだ翻訳者とか通訳者とかに代わるモノが出現していないのは、それで食べている者にとって有難いことだ。
性能のいい翻訳ソフトも最近は結構出ているようだけど、翻訳者の仕事を脅かすところまではきていないようだし。しめしめ。
やっぱり言葉というのは生き物で、時代によってもテーマによっても使い方使われ方が違うし、変化に富んでいる。役所文書にファッション雑誌、児童図書に研究論文。分野ごとの微妙なようで確実に違う言葉のニュアンスを選択して翻訳できる能力は、人間がまだコンピューターに対抗できる数少ない能力のうちの一つなのだ。

とかなんとか言っちゃって、その言葉の選択にはコンピューターの助けが必須なんだよね~。
文明の力様様だったりする。
最強の武器はインターネット。専門的な用語もググれば何かと出てくる。たいていの場合は図書館要らず。インターネットがない時代に翻訳をしていた人々には、本当に頭が下がる。

でも最大の悩みはいかに「良い文章」に翻訳できるか。
何が良い翻訳かっていう問題もあるけど、多くの翻訳家は、どこまで原文に即し、且つ分野に即した自然な日本語を作り出せるか追求している。それって結構果てしない作業ですよ、実際。あとはプロ意識の問題で、どこで妥協するか、しないかはその人次第。
こだわるととことんこだわってしまう傾向の私も、最近は、この給料ならここまでだ!と給料で妥協点を定めるようにしている。(おいおい・・・コンピューターの方がやっぱましなんじゃぁ・・・。)

翻訳していると、自分じゃ絶対読まないようなテーマや分野でも読まざる得ない。中にはあまりにもつまらなくて、やる気がなくなる事もある。きっと一生使わないような雑学が知らずと増えていくのかもしれない。それがいいことか悪いことかはさておき、翻訳業には最高に素晴らしい点が一つある。
それは☆仕事場がボーダーレスなこと!インターネットさえあれば。
翻訳会社によっては、それがかなわないこともしばしある。幸い私が所属するところは日本にいようがドイツにいようが仕事が出来る。要は締め切りまでに間に合えばいいのだ。副業だってOK~。

論文の調査で去年の半分は日本にいた私でも、この翻訳業のお陰で仕事を続けながら日本滞在ができた。徹夜もざらじゃないこのお仕事でも、副業OK+ボーダーレスという、なかなか無い自分ぴったりの条件は他に代えがたい。(万が一高額の奨学金がもらえるようになる以外は・・・。)
当分本業さながら翻訳業も続けていくことになりそうだ。